淡い草葉色のグラデーションが美しい毛糸です。この毛糸でレディスのセーターを編み上げると、やさしくおだやかで、それでいて明るい雰囲気に仕上がりました。この野呂英作の「四季」の魅力を、じっくりと見てきましょう。
1本の毛糸だけできれいなグラデーションが現れるセーターを編みたいと思いませんか? そんな作品にふさわしい毛糸を探していたら、野呂の「四季」と出会い、すぐに気に入りました。毛糸の太さは並太程度ですが、淡い色が多く配分されているせいなのか、やや繊細な印象を与えます。棚には何色か並んでいましたが、落ち着きと明るさを感じさせる緑色を選びました。
野呂「四季」はどんな毛糸?
野呂「四季」の魅力は、シルクとモヘヤの上品な光沢感と、やさしく淡い色合い。「四季」の名の通り、自然の景色に溶け込むような色彩が美しいです。そして、柔らかい肌触りも魅力のひとつに付け加えられるでしょう。
この野呂「四季」をより詳しく知るために、まずラベルの記載内容からこの毛糸の基本仕様を確認していきましょう。下表をご覧ください。
品名 | 四季 |
色番 | Col.10 |
ロット | Lot.A |
組成 | 毛:45% 絹:23% ナイロン:20% モヘヤ:12% |
重量 | 100g |
長さ | 250m |
参考使用針 | 6-8号 |
標準ゲージ | 18-20目, 24-26段(10cm四方) |
メーカー | 株式会社 野呂英作 |
まず色番についてですが、いくつかあるカラーバリエーションのうち、今回のレビューではCol.10の緑色を選びました。
毛糸の組成を見てみましょう。この毛糸はウールが45%のほかにナイロンが20%、そしてシルクが23%とモヘヤが12%がミックスされているようですね。このシルクとモヘヤがあることで、毛糸の表面にうっすらと光沢感が生まれているようです。後ほどこの毛糸の表面のクローズアップ写真をご覧いただきましょう。
標準ゲージは18-20目x24-26段としてあります。毛糸の太さを実測してみると平均約2mmですが、ところどころ極端に太かったり細かったりするのがこの毛糸の特徴であると言えるでしょう。
また、野呂の毛糸に共通して言えることですが、この毛糸は単糸で、撚りの方向はZ撚りです。
次に、洗濯表示を見てみましょう。
野呂「四季」の洗濯表示には、●洗濯禁止、●漂白剤使用禁止、●タンブル乾燥禁止、●日陰の平干し、●上限110℃のアイロン可、●石油系溶剤による弱いドライクリーニング可、●ウェットクリーニング(特殊な水洗いと仕上げまでを行う洗濯処理)禁止、と表記されています。
この「四季」に限らず、野呂の毛糸は多くの場合において、石油系溶剤によるドライクリーニングを推奨していますね。
野呂「四季」を実際に編んでみた印象
毛糸玉から毛糸を引き出しながら、野呂「四季」の魅力をじっくりと味わっていきましょう。まず毛糸の色合いですが、ベース色となる淡い草葉色がなんとも心を和ませてくれます。そして、ところどころに茶色や薄紅色、ブルーなどのアースカラーが紡がれていて、思った以上に彩りが豊かであるという印象を持ちました。
毛糸を触ってみた印象ですが、表面は柔らかな感触です。滑りについては、まずまずのなめらかさと言えるでしょう。
毛糸の表面をさらによく見てみましょう。
このように拡大して見ると、光沢のある細い繊維が紡がれていることが分かります。素朴な色合いの毛糸と思わせながら、編み上げてみると明るい印象の編地になるのは、毛糸の表面を覆っている細い繊維のこの光沢の働きによるものなのでしょう。
毛糸の太さにはかなり変化があるのは前述したとおりです。撚りの強さも場所によって多少の強弱がありますが、全体的には標準的な撚りと言えるでしょう。
毛糸を両手で引っ張ってみても、切れることはありません。
では、野呂「四季」ご自慢のグラデーションの美しさを見るために、スワッチを編んでみましょう。
遠目で見ると淡い緑色の編地という印象です。しかしよく見ると、どの編み目もひとつとして同じ色のものはなく、緑色のグラデーションの変化が激しく、また差し色の色数も多いことが分かります。緑色以外には淡い白色の配分が多く、そのほかには明るい青や赤、濃い茶色なども頻繁に現れています。見れば見るほど、この毛糸は淡い緑色だけではない、カラフルな毛糸だということが分かります。
編み目の表面は、前述したように細く光沢のある繊維が印象的で、陽光の下では編み目が繊細に輝いて見えます。
気になる汚れや傷は見当たりません。
この毛糸は摩擦には強い方ではなく、強くこすると表面の細かな繊維が浮き上がって毛羽立ってきます。
編地を曲げたときの柔軟性に関しては、並太の毛糸としては標準的あるいは若干張りのある柔らかさといったところでしょうか。
野呂「四季」を使用した作品
野呂英作の「四季」「緑色(Col.10)」を使用して、レディスのセーターを編んでみました。毛糸の美しいグラデーションが映えるように、メリヤス編みを基調としたデザインにしました。
あくまでも淡くおだやかに、それでいてどこか遠くの花畑を眺めているような華やかさもある一着に仕上がったと思いますが、いかがでしょうか?
野呂「四季」の購入方法
野呂英作の「四季」はユザワヤさんとのコラボレーション商品のため、ユザワヤさんでしか購入することができません。全国のユザワヤさんの店頭や、ユザワヤさんのオンラインショップでご確認してみてください。